つばさの軌跡

京大卒。新卒の2018年春、鳥取県智頭町に移住し、社員2名の林業会社に就職。林業家を志す。働くこと、食べること、寝ること、話すこと、住むこと...。自分の人生の時間を分けることなく、暮らしの所作、その一つ一つに丁寧に向き合って、精一杯生き抜くことが目標。

「圧倒的成長」って言われると、焦るんです。

以前、「成長」について書きました。

林業を始めて、感じたこと。

今回はその続き。

 

tsubasakato.hatenablog.com

 

前回は「身の丈にあった成長」を心がけないと、

林業では事故につながるよ。みたいなことを書きました。

でも、それだけじゃない気もしています。

 

「身の丈にあった成長」

つまりは、自分のできること、できないことをしっかりと見極めて、

できることに集中する。

これをしていると、不思議とできることが増えていく気がします。

「できること」しかやってないはずだから、

これだけ聞くとおかしい感じがするのだけれど。

 

なぜだろうか。

それは、基礎から身についていくからかなぁと思います。

できることにも「できる度」みたいなものがあって、

チェーンソーで丸太を伐るにしても、

最初はきれいに切れなかったり、

腕がものすごく疲れてしまったり。

 

それが、「丸太を伐る」ことに集中して、

何度も繰り返しやっていると、

切断面がきれいになったり、

何度やっても、身体が保つようになる。

同じ「伐れる」ことでも、その質が違う。

 

そうすると、

負担のかからない身体の使い方や、

傷まないチェーンソーの使い方がわかってきて、

自然と「できること」しかしなかったのに、

「できないこと」ができるようになっていく。

そんなサイクルになるのかなぁと。

 

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逆に学生でいたときは、

「圧倒的成長」という言葉を何度も聞いて、

圧倒的に成長しようと、頑張っていた。

でも、それでできるようになったことは少ない気もする。

 

なぜだろうか。

一つは、ものすごく焦るからじゃないだろうか。

大学の先輩や、会社の人事や代表、

その人たちに、「圧倒的成長」と言われると、

早く、その人たちに追いつきたいと頑張ってしまう。

けれど、そのとき、自分のできることやできないことなんて把握してなくて、

むしろ「限界を超えろ」「やると決めろ」と言われることで、

「僕は(今は)これができないんだ」と認めることさえ、

否定されるような気がしてしまう。

 

そして、「圧倒的成長」を目指す横には、

常に同期で、同じように「圧倒的成長」を目指す人がいて、

どちらが、より早く、より圧倒的に、

成長できるかが試されている。評価されている。自分より上の人によって。

という感覚に陥る。本当かどうかは別として。

 

そうなると、もう、焦りまくる。

まともなプレゼンなんかしたことないのに、

企画プレゼンを志願してみたり、

リーダー経験ないのに、リーダーに立候補したりしてた。

苦めの思いでしかない。

 

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もちろん、誰もが最初は経験なんてなくて、

経験を待ってたら、一生挑戦せずに終わるのだけれど、

自分の能力もわからずに、焦ってやっても、

成長は遅いのかもしれないなぁと。

 

人それぞれ、伸び方は違うし、

焦るぐらいに成長を目指した方が早い人もいるだろうし、

あるいは、同じ人でも時期によって、

自分の能力を確かめながら挑戦するのと、

何も考えずに突っ込んでみるのと、

どちらがいいかは違うのだろうから、

一概には言える話じゃないけれど。

 

「圧倒的成長」と言われて、焦って周りが見えなくなってるとしたら、

落ち着いてみるといいかもよ。

と、3年前の自分に言いたい。

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尊敬する先輩は、

「すぐに型破りになろうとするな。

型を破るには、まず自分の中に型をつくらないと、破る型がない」

と言っていました。

いま、すごく心に沁みてます。

 

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「型」がなければ、破れない。

 

 

5月は、より一層、木と向き合いながら。

日々、精進。

 

つばさ

身の丈にあった成長

仕事が始まりました。

 

ただ「林業」と言っても、

いろんな工程があります。

 

「木を伐って、運ぶ」

 

言ってしまえば、それだけなのですが、

それには、

・山主との交渉(木は、他人の資産)

・作業道づくり(運搬用の機械が山の中に入れないと運べない)

・伐倒(木を伐る)

・枝払い(枝を全部切り落とす。トラックにうまく乗らないため)

・集材(山の斜面から作業道へ木を引っ張ってきます)

・造材(木の用途に合わせて、採寸して丸太を切る)

・運搬(トラック等に乗せて、下界へ)

 

(ざっくり言っても)これだけの工程が必要です。

 

なぜか。

その一つ、大きな理由は、木は「デカい」こと。

伐った木を一本、道へ引っ張って、

トラックに乗せるだけでも、一仕事。

僕も、林業始めるまでは、そんなこと考えもしなかったですが。

 

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 何にもない場所に、道を想像し、創造する。林業は空間デザイン。壊れない道を付けるには、土壌、水の流れ、風、勾配、集材効率など、考えることが無限にある。だけれども、それが最高におもしろい。

 

でも当たり前だけど、

あんな大きなモノを扱っていたら、一つのミスが命取りになる。

 

実際、林業労働災害発生率(千人率)は、

全産業のなかで最も高く、31.2

全産業の平均は、2.2

鉱業は9.2、建設業で4.5

林業だけが、圧倒的に高い。

http://www.rinya.maff.go.jp/j/routai/anzen/iti.html

 

自分の怪我も気をつけなきゃいけないけれど、

それ以上にも気をつけるのが、仲間のこと。

仲間への事故は、反省してどうこうなるものじゃない。

「ミスしてしまいました」じゃ許されない。

 

だからこそ、

ちゃんと自分のできることと、できないことを、

明確に言う必要がある。

見栄を張ったり、無理なんかしちゃいけない。

そんなことしてミスしたら、

取り返しのつかないことになる。

 

まず、自分に何ができて、何ができないのか。

それを、しっかり見極めること。

それから、その中で最大限、できることをしっかりやる。

山仕事の第一歩は、安全第一。健康第一

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背伸びなんて、できないなぁ。

 

まだまだできないことだらけですが、

できることを一つずつ。

精進します。

 

つばさ

The Life Book第2弾:『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』

【「働く」を考える、すべての人へ】

 

https://tsubasakato.amebaownd.com/posts/3948958

僕の仕事する上での指針が、ここにあります。

僕が暮らす上での指針が、ここにあります。

鳥取県智頭町。僕がいま、暮らす町。

そこにあるお店 タルマーリー の物語です。

 

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●「小さくてもほんとうのこと」

 

本のなかで、一番心に残る言葉です。

「ほんとうのこと」とは、自分が正しいと思えること。

著者・格さんは、それを大事に生きてこられた方。

それを形にして、実現してこられた方。

けれど、そこにはたくさんの苦労があると本を読めばわかります。

でもだからこそ、憧れをもって、

僕もこうやって人生を歩んでいきたいと、切に思います。

林業」という分野は違うけれど、

同じ心持ちで、「自分が正しいと思えること」を、

大切に、生きていきたいです。

 

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●「ご縁」をつくってくださったお店

 

「なぜ、智頭へ来たの?」とよく言われます。

1年前は、縁もゆかりもなかった場所。

それはご縁としか、言いようがないのだけれど、

その「ご縁」を創ってくださったのが、

このお店、タルマーリー。

 

ちょうど1年前ぐらいに、

この本を読んで、

とにかくお会いしたくなって、

都合の合ったイベントに飛び込んでいった。

そこで初めて、智頭町を訪れた。

始まりは、ここだった。

 

イベント終わった後に、

お話しさせていただいて、

林業したいんです」と伝えてみたら、

「智頭にもいるよ」と、林業家の方を

紹介して、つなげてくださった。

初対面の、よく分からない、線の細い大学生に。

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そのときいただいたご夫婦のサイン。二人いないと完成しないのが素敵。

 

それがきっかけで、

去年に何度か智頭を訪れ、

いま、僕はそこで暮らし始めている。

そのとき紹介していただいた方のもとで。

 

林業したい」と伝えても、

大抵は、まず信じてもらえませんでした。

言葉に出さずとも、「本気?」と問われます。

まあ、当たり前だと思うのですが。

だけれど、ここでは、そんなことはなくて、

言ったことを、そのまま受け入れてくださった。

それが、本当に、嬉しくて、

そのおかげで、僕はいま、ここにいることができて、

そのことへの「ありがとう」の気持ちは、

忘れずに、生きていきたいなと思います。

 

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将来「働く」ことを考える就活生。

いま「働く」を考え直している何年目かの社会人の方。

よかったら、読んでみてください。

 

https://tsubasakato.amebaownd.com/posts/3948958