つばさの軌跡

京大卒。新卒の2018年春、鳥取県智頭町に移住し、社員2名の林業会社に就職。林業家を志す。働くこと、食べること、寝ること、話すこと、住むこと...。自分の人生の時間を分けることなく、暮らしの所作、その一つ一つに丁寧に向き合って、精一杯生き抜くことが目標。

「ほんとうのこと」をするのは、簡単じゃない

この前の木曜日。すごく良いトークイベントに参加できました。

 

「クルミドコーヒー」・影山知明さん ×

                                  「タルマーリー」・渡邉格さん・麻里子さんご夫妻

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真面目な話をしながら、笑いの絶えないトークでした

 

お話を聞いてて、自分のなかでビビッとくる瞬間。

その感覚を得たのは、久しく味わっていませんでした。

詳しい話は本にあるので、そのときに感じた学びを中心に書き留めておきます。 

 

「小さくてもほんとうのこと」がしたい

行こうと思ったのは、数ヶ月前にタルマーリー・渡邉格さんのご著書を拝読して、

絶対に一度は、直接お話を聞いてみたいと思ったから。

 

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 タルマーリー発、新しい働き方と暮らし (講談社+α文庫)

 

これがすごく良い本で、

格さんご自身が会社で働いているなかで感じた社会の矛盾。

マルクスから学んだ、矛盾が生まれる原因。

そこから、ご自身の信念を貫いたパン屋を築き上げるまでの過程がリアルに書かれている。

 

一番心に響いた言葉が、これだった。

いつかは、今いる世界の「外」に出て、小さくてもほんとうのことがしたい。

自分が正しいと思えることをして、それを生活の糧にして生きていきたい。

『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』渡邉格著(講談社+α文庫)p22

 

僕もいま、卒業後の仕事を悩んでいる時期。

「社会に出ていく」とか、「会社で働く」とか、わからないなりに考えているなかで、

でもやっぱり「小さくてもほんとうのこと」がしたいなぁと思っていた。

お話を聞いて、改めて自分が正しいと思えるものを追求しようと、強く決意した。

 

じゃあ、それにはどうしたらいいのか。

ここから、一昨日の学びを、僕の解釈とともに。

 

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鳥取県智頭町にある「タルマーリー」。保育園を改装した建物がかわいい。

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こんなもちもちしたパンは食べたことがなかった...!! イチジクとカシューナッツのパンがイチオシ。

 

「ほんとうのこと」は、簡単に身につかない 

なによりもまず「生産手段」を身につけること

 

格さんが本で書かれていたのは、「なぜ労働力が商品になったか」ということで、

その理由の一つは、「生産手段」を持っていないから。

当たり前のようだけど、自分でなにかを生み出せない人は、

会社に雇ってもらって、労働力を提供するしかない。

それだと、自分の思いと会社のやり方が合致しない可能性もある。

 

やっぱり「ほんとうのこと」をするには、

自分が正しいと思えるものを、正しいと思える方法で生み出す「技術」が必要なのだと感じた。

 

では、「技術」を身につけるには。

それを身につけるまでは、何年でも繰り返すこと。没頭すること。

人になにかを与えられる技術は、簡単には身につくものではない。

簡単に身につくのであれば、誰でもやっている。

 

いま、僕たちは、溢れる情報のなかにいて、

そのなかには、若くして結果を出した人がよく現れる。

それはすごく刺激を受けるものでもあるけど、

どこかで早く結果を出さなきゃっていう焦りもまた、心の奥に芽生えさせる。

まず、僕は、「短期的に成果を出す」という、

人生の効率化の考えを変えていかなければならないかなと思う。

 

まさに、影山さんのご著書のタイトル通りだと思う。

ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~ | 影山知明

 

その先に、相手を見据える

そこで技術が身についたとして、「ほんとうのこと」を売るのは、難しい。

どうしても値段が高くなるから。

 

じゃあ、どう値段でないところで差別化するのか。

「giveを考える」と影山さんはおっしゃっていた。

 

「ほんとうのことがしたい」「そのためにも利益がほしい」

というのは、すべて「takeの動機」

いくら自分が正しいと思えることをしても、それは自己満足で終わる可能性がある。

 

自分が正しいと思えることをしたうえで、「相手になにをあげたいのか」

この「giveの動機」が、どうしても利益に目が行きがちな会社との差別化になり、

「自分らしい」働き方・人間関係につながる。

  

 

就職を考えていると、

「自分はなにをしたいのか」「自分はどう成長したいのか」とtakeばかり考えてたので、giveをもっと考えなければ、とハッとしました。

 

僕は、どんなものを与えられるだろう。

最近のテーマです。

 

心のなかの、小さな違和感を大切に

「ほんとうのこと」をしたくない人なんて、いないと思うんです。

どの会社も、どの人も、

最初の理念は、正しいと思うものを、正しいと思うやり方でやろうと思っていたはず。

でも、いろんなものが重なって、だんだんと難しくなっていくと思うのです。

 

じゃあ、どうするか。

影山さんは、「自分の小さな感覚に嘘をつかない」とおっしゃっていました。

 

「え、それっていいのかな」「ほんとはこうしたかったんだけどな」 

小さいかもしれないけど、自分のなかの違和感を、信じられる人間になりたい。

そう、思いました。

 

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本、両方買ってしまいました。サインまでいただいて。

 

影山さんのご著書『 ゆっくり、いそげ』は恐縮ながらまだ拝読してませんでした。

けれど、絶対オススメできます。あの方の本は、絶対素晴らしいと思います。

僕もすぐ、読みます。

 

興味ある方は、ぜひ。

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 タルマーリー発、新しい働き方と暮らし (講談社+α文庫)

ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~

 

つばさ

tsubasakato.blog@gmail.com