つばさの軌跡

京大卒。新卒の2018年春、鳥取県智頭町に移住し、社員2名の林業会社に就職。林業家を志す。働くこと、食べること、寝ること、話すこと、住むこと...。自分の人生の時間を分けることなく、暮らしの所作、その一つ一つに丁寧に向き合って、精一杯生き抜くことが目標。

変革を起こす「越境者」であれ

10日間、京都で山籠りしていたので、

2週間も前になってしまったけれど。

 

地元・長野市の地域づくりのイベントに、

スピーカーとして話をさせてもらいました。

 

人前では緊張してどもってしまうので苦手で、

準備を先延ばしにしてしまうことが多いけれど、

今回は思うところがあり、何回も練習して臨みました。

林業の話以前の、僕の社会に対する問題意識だけを15分。

プレゼンはとりあえず合格点かなと。

 

嬉しかったのは。

一人の50代の男性が、

「今日は君とFさん(もう一人のスピーカー)と知り合えたのが私の財産」

と伝えてくださって、本当に光栄でした。

 

得意じゃないものを引き受け、

気合いを入れて取り組んだのは、

ひとつの使命感があります。

 

f:id:tsubasakato:20180226064613j:image

 

越境者であり続けること

参加者は、40-50代の社会人の方が多かった印象。

一方、僕はまだなにも始めてないただの学生。

そんな状況で依頼を受けるのは躊躇われました。

こんな状況で、何か有意義なことが話せるのかと。

 

ただ、やはり、僕が山に入る意義はなんなのか、

なぜ林野庁じゃないのかを考えたときに、

それは分断を越えることだと思っている。

 

社会の変革は、越境者から始まる。

既存の社会に新しいものが生まれ、変化していく。

それは社会の内部から生まれることもあるが、

外部からの新参者が刺激となることが多い。

それは今までなかった価値観をもたらし、

既存の社会をまた別の社会とつなげる、あるいは新しい社会へと再構築する。

地方を変えるのは若者、よそ者、バカ者と言われる。

要するに「越境者」だ。

現状維持では、なにも変わらない。

 

京大卒の林野庁員はきっとたくさんいる。

その人たちが、現在の林業の一角を担ってきた。

けれど、いま日本の森林は多くの課題を抱えている。

いままでのやり方では変わらない。

(もちろん林野庁に進む人等を批判してるわけではありません)

 

僕は林業家としては、技術の面では劣るかもしれない。

160センチ、50キロのひ弱な体格では、最初はきっとついてくのに必死だろう。

それでも僕が現場に行く意味。

それは、新しい風を吹かせること。

新しい視点をもたらすこと。

そして、新しい人々の層に伝えること。

これしかない。

 

林業の現場では「京大卒」など意味を持たない。

むしろ、邪魔だ。煙たがられる。

林野庁に行って、林業を変えてくれ」と言われたことは一回ではない。

だから自分でもあまり言いたくない。

 

だけど、使えるものは使ってやる。

「京大卒・林業家」がより多くの人のきっかけになるのなら。

 

いま、人が生活の中で「木」を意識することはない。

無くても生きていけるように錯覚している。

林業家も山から離れることは少ない。

この分断を、越えること。

2つの世界をつなげること。

その橋に、自分がなること。

それが僕が山に入る社会的意義だ。

 

越境者であり続けること。

世界を伝え続けること。

これを一つの使命としていきたい。

 

 

というわけで講演の機会は願ってもない場で、

もちろん、これからは山仕事が優先だし、

まだ未熟者だけれど、呼んでくださるものにはできる限り受けたいと思います。

まず、地元で話せて嬉しかった...。 

 

つばさ