つばさの軌跡

京大卒。新卒の2018年春、鳥取県智頭町に移住し、社員2名の林業会社に就職。林業家を志す。働くこと、食べること、寝ること、話すこと、住むこと...。自分の人生の時間を分けることなく、暮らしの所作、その一つ一つに丁寧に向き合って、精一杯生き抜くことが目標。

勇気をくれる人に、会ってきました

神奈川県の最西端、山北町へ行ってきました。

静岡と山梨の県境、約90%の土地が山岳地帯の山あいの町。

 

人に会ってきました。

志を持つ女の人がいるのです。

 

島崎薫さん。

僕と同年代ながら、

自分で牛を飼って、牧場を開くことを志しています。

 

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放牧予定地を案内してくれる島崎さん。遠くには相模湾まで見渡せる。 

 

初めて会ったのは、去年の5月。東北で。

岩手県岩泉町に、「なかほら牧場」という素晴らしい牧場があるのですが、

そこの取材に行ったときに、島崎さんはスタッフとして働いていました。

(「なかほら牧場」の紹介も、また今度書こうと。)

nakahora-bokujou.jp

 

出会って、衝撃を受けたのをずっと覚えています。

そのときから、「自分の牧場を開きたい」と言ってました。

一方僕は、自分がなにをしたいかわからずに、休学し始めたばかりでした。

 

東北で行くとき、「精一杯自分のできることをする」と心に決めていましたが、

「これがやりたい」と、ひとつに決めることはまだできていませんでした。

 

だからこそ、「酪農」をすると決め、

岩手の山奥の牧場で何年間と住み込みで働いている。

その姿に、ものすごく刺激を受けました。

まだ、僕はこうなれてないけど、

いつかは、いや、できるだけ早くに、こうなりたいなと、思いました。

 

1年間、東北で活動をやり遂げられたのも、

ここでの出会いがあったからだと思っています。

 

 

牧場を開くまで、一歩ずつ

 

島崎さん。

いまは、山北町で牧場を開くための準備をしています。

去年の夏に、4年半いた「なかほら牧場」を卒業し、

山北町に拠点を移しました。

 

「牧場を開く」と言っても、実は普通の牧場ではありません。

いまの日本の酪農は、ほとんどが牛舎飼いのなかで、

「山地酪農」を志しています。

それは、24時間365日の自然放牧、餌は輸入穀物飼料でなく自生の野シバ。

経済性とか合理性よりも、なにより牛をしあわせを考えた酪農の姿です。 

 

だからこそ、

地域との関係性を築き、

広大な土地を借り、

半ば放置された土地の植生を整え、

搾乳設備を新たにつくり、

そのために、排水設備やら、殺菌設備を準備し、

やっと牛を放牧する。

そこからやっと搾乳ができるのだけど、

そうやってできた牛乳が、既存の価格と同じであるはずはなく、

価格的には高い牛乳を、

自分でやっていることの価値を伝え、

新たに販路を開拓していかなければいけない。

 

そんな気が遠くなるような志を実現できるよう、

一歩踏み出したところなのです。

 

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写真中央部。草の茂る黄緑の2部分が、放牧予定地。来年の春には、牛を放つための準備を、いまは地道に。

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 放牧地から西を望めば、富士山が見える。この日は雲がかかって見えにくいけれど...。

  

勇気をもらえる存在。そんなひとに僕もなりたい。

 

勇気をもらいます。本当に。

 

臆してしまいそうな、先行きの見えない志を、

それでも一歩踏み出している姿に。

東北で出会ったときもそうですが、

また、実際にこれから牧場になるであろう場所を見せてもらって、

いろんな壁がありながら進んでいる話を聞いて、

改めて、僕も自分の道を進もうと、勇気をもらいました。

 

そして、僕ももらってばかりでなく、

自分の行動や、姿や、志で、

勇気をあたえられる存在になりたいなと思います。

やはり、志を追うひとはかっこいいです。

 

こちらのFacebookページで、牧場を開くまでの道のりを発信されてます。

よければフォローしてみてください。

『山地酪農を始めます@山北町

https://www.facebook.com/yamachirakunou.yamakita/

 

僕もそんな人になれるように。

精進、精進。

 

つばさ

原動力は、「出会い」と「感謝」

「行動力あるね」と言われることがあります。

僕のなかでは、まだまだ足りないのですが。

 

でも、いままでと比べたら、自分で動く頻度は増えたなぁと思います。

 

僕は、もともと、初めて誰かに会うのが好きじゃないというか、

知らない人との出会いにわくわくする気持ちもあるのですが、

それよりももっと大きい不安とか、変なプレッシャーが出てきて、

どうしようもなく、集中できず、そわそわすることが多いです。

 

「会いたい!」と連絡をとった時にはわくわくするのですが、

会う2日前になると、逃げ出したい気持ちが募ってきます。

 

できれば、そんな思いはしたくないし、

変わらず、気ままに、それなりに、生活していたい。

そんな気持ちになることもあるし、ものすごくわかります。

 

それなのに僕は、なぜ新しいところに飛び込むのか。

ひとに聞かれて、改めて考えてみました。

 

 

胸を張って、再会したい人がいる

 

結論を先に言います。

僕の原動力は、「人」です。

原動力が、外にあるっていうのも、変な言葉だけど。

 

僕は、東北で、たくさんの人に会いました。

僕は、そのとき、周りにとってなんでもない人だったと思います。

 

なんとなく、いまの社会への違和感とか、自分の生き方とか。

そういうものを、なんとか変えたいなと思ってはいたけれど。

じゃあ、実際どう変えたいのか。

それを、本気で考えることはできていなかったし、

熱意に圧倒されて、勢いだけで、飛び込んでいました。

 

そこで何を成し遂げるとか、

そこで誰かに何を与えるとか。

そんなことは思いつくこともできずに、

ただ自分のために。

 

けれど、そこで、僕は、家族に出会いました。

自分のことばかりだった僕を、真正面から受け止めてくれて、

まだなにもできない僕を、心から応援してくれました。

 

「期待してるよ」「元気でいてくれればいい」

 

その言葉は、僕に、勇気をくれます。

勇気と同時に、僕の心にこみ上げるものは。

 

まったくもって「感謝」しかないです。

 

本当に、この出会いは、当たり前じゃないのだと思います。

この方たちは、どこにでもいる方たちじゃないのだと思います。

いつまでも、その優しさに、甘えてはいけないのだと思います。

 

「感謝」の気持ちが生まれたら、

どうにか、この恩に報いたいと思いました。

でも「恩返し」なんてものを期待してない方たちだから、

直接は返せないことなのだと思います。

 

じゃあ、僕は、なにをできるのか。

 

 

それは、僕が、僕らしく生きることだと思いました。

自分が信じた道を、まっすぐに進むことだと思いました。

 

その気持ちを、その姿を、その生き様を、見せることで、

少しでも安心してもらえるのではないかと思います。

そして、また会ったときに、

胸を張って、元気に、再会したいなと。

心から、思います。

 

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いやあ、ほんとに。なんだかんだ元気でやってます。2017.07.03

 

久しぶりに思い出して、恋しくなりました。

東北のみなさん、また元気で会いましょう。

 

つばさ

40歳になったとき、何を語れる大人でいたいですか

つばさです。

 

いろいろ書いてますが、

僕は、「将来こうなりたい!」っていうのがあまりない人です。

いま、自分の心惹かれるものに、引っ張られていこうと思っています。

 

けれど、自分がこれから何十年も働いたとき、

もっともっと大人になったとき、

どんな姿でいたいかは、ふんわりと考えています。

 

紡ぐ言葉、繋ぐ意思

ネットやら、テレビやらを見ていると、

いろんなことを語る人がいます。

 

政治を語るひともいます。

マーケットを語るひともいます。

組織を語るひともいます。

 

あるいは、

海外を語るひともいます。

貧困を語るひともいます。

幸せを語るひともいます。

 

はたまた、

農業を語るひともいます。

海を語るひともいます。

牛を語るひともいます。

 

それぞれが、それぞれの経験から、それぞれの分野を語ります。

語ることは、伝えること。

伝えることは、継承すること。

 

いずれ死ぬ僕らの限られた人生のなかで、

100年に満たない限られた時間のなかで、

限られた経験と、

限られた思考から、

限られた言葉を紡ぎ出します。

 

紡がれた言葉によって、次の世代へ伝えられ、次の時代へ継承されます。

 

 

あなたは、いま、何を伝えますか。

あなたは、将来、何を伝えたいですか。

 

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僕は、なにを伝える人になろうか。

 

僕は、いま、「生きること」を伝えたいです。

僕は、将来、「自然の営み」を伝えたいです。

 

僕は、真っ先に、ビジネスを語るひとでありたくない。

利益とか、成長とか、キャリアとか。

僕にとって、そこは一番大事なことではなく、

ひとが暮らすこと、食べること、寝ること、話すこと、働くこと。

ひとが生きること、そのすべてが、森や海や、動物や植物や、微生物や細菌や。

そんな数え切れないほどのものに支えられ、僕らはこの地球で生きている。

僕らは、ひとりで生きていない。

僕らは、自然と共に生きている。

 

そんな話を、40歳になったとき、語れる大人になりたいなと思います。

そう思って、いま、心のままに動いています。

 

みなさんは、何を語れる大人になりたいですか。

 

 

つばさ